「カナダにおける日本食の未来 ― 業界横断で見る可能性」
日本の食のイノベーションとカナダ市場をつなぐ。定員を大幅に超える80名が参加!
2026年10月26日(月)、日本カナダ商工会議所(JCCOC)主催による「Vancouver Connect Vol.3」を、バンクーバー・ダウンタウンの The Post 内 Devils Coffee Lounge にて開催いたしました。
今回は「カナダにおける日本食の未来 ― 業界横断で見る可能性」をテーマに、日本からカナダ市場への進出に挑戦する起業家と、カナダの食産業を牽引する企業、政府機関の代表者をお招きし、プレゼンテーション、Fireside Chat(対談)、そしてネットワーキング交流会を実施しました。
当日は、定員50名に対して大幅に上回る80名が参加。17時から20時までの3時間にわたるプログラムにもかかわらず、ほとんどの参加者が最後まで会場に残り、登壇者の話に熱心に耳を傾けました。活発な質疑応答や参加者同士の交流も続き、予想を上回る盛況となりました。
日本食の広がりと、新たなビジネスチャンス
近年、バンクーバーでは日本食文化が着実に浸透しています。
EdamameやMatchaに始まり、TemakiやOnigiriなども一般的なレストランメニューに登場するようになりました。食材スーパーでも、こしひかり、あきたこまち、金芽米など、日本産米への関心が高まっています。
こうした市場の変化を背景に、今回は日本食を取り巻く各分野の第一線で活躍する企業と政府機関が一堂に会し、食材の輸出、飲食店経営、食品流通、政府の輸出支援という異なる視点から、カナダ市場の可能性と課題を議論しました。
4名の登壇者によるプレゼンテーション
① funique west LLC. 中田晃博 代表
四国・高知県産の香り米をカナダ市場へ輸出し、現地でおにぎり事業を立ち上げることを目指す起業家。
日本のお米の品質と精米したての鮮度にこだわり、現地でのおにぎり販売やEC事業を組み合わせた新たなビジネスモデルを紹介しました。
イベント当日は、ポップコーンのような香ばしい香りが特徴の高知県産香り米を実際に炊飯し、参加者に試食を提供。また、香り米を原料としたビールも展示され、会場の注目を集めました。
渡航期間中には、現地の和食スーパー、飲食店、食品流通会社を訪問し、競合する米ブランドや現地の消費者ニーズについて積極的に調査・意見交換を実施。日本の食材をカナダ市場へ届ける新たな挑戦が紹介されました。
② ABURI GROUP 中村正剛 代表
バンクーバーを起点に15年以上にわたり、高級寿司レストラン「Miku」「Minami」や「ABURI MARKET」などを展開するABURI GROUPの中村代表。
カナダで成功したビジネスモデルを日本へも展開するなど、日加の食文化をつなぐ先駆的な起業家です。
今回のプレゼンテーションでは、飲食店経営におけるITとデータ活用、食材の仕入れから顧客への提供までを見据えたサプライチェーンの再設計について紹介。
実際の店舗経営で蓄積したデータを基にした具体的な説明は説得力があり、食材の仕入れ元、飲食店、顧客の三者が満足する新たな食流通の仕組みづくりについて、参加者からも大きな関心が寄せられました。
③ JETRO バンクーバー 吉武政治 様
日本企業の海外展開と貿易促進を支援するJETROより、カナダにおける日本食品の輸出動向と政府の支援策について紹介いただきました。
日本からカナダへの農林水産物・食品の輸出拡大の状況をはじめ、JETROによる海外バイヤーとのマッチング、輸出戦略の策定、市場調査、商談支援など、具体的な支援制度について解説。
特に、日本産米のカナダ向け輸出額は2020年から2025年にかけて477%増加しており、今後の市場拡大への期待を感じさせる内容となりました。
④ JFC International(Canada)入木田海渡 マネジャー
1906年にカナダで創業し、100年以上にわたり日本・アジア食品の流通を支えてきたJFC International。
北米最大級のアジア食品流通ネットワークを持つ同社からは、最新の日本食材トレンドとカナダ市場の変化について紹介いただきました。
カナダでの日本旅行人気の高まりが日本食ブームを後押ししていること、また健康志向を背景にオーガニック、減塩、発酵食品などへの関心が高まっていることが説明されました。
一方で、食品添加物の規制、関税、英語・フランス語による商品表示義務、人材不足など、日本企業がカナダ市場へ進出する際に直面する課題についても具体的な情報が共有されました。
1万点を超える食品の取扱データと、北米全域に広がる物流・流通ネットワークを持つ同社の存在は、日本食材の市場拡大において重要な役割を担っています。
業界を越えた対談と、活発なネットワーキング
4名のプレゼンテーションに続いて、Fireside Chat(対談)を開催しました。
日本からカナダ市場へ挑戦する新しい起業家、カナダで事業を成功させてきた先輩起業家、食品流通を支える企業、そして政府の輸出支援機関。それぞれ異なる立場から、率直な意見や実体験が交わされました。
参加者からも積極的に質問が寄せられ、登壇者と会場が一体となった活発な議論が展開されました。
また、香り米の試食なども交えながら、登壇者と参加者、参加者同士の交流が広がり、新たなビジネスの可能性を感じさせるネットワーキングの場となりました。
特に、定員を30名上回る80名が参加し、3時間のプログラムの最後まで多くの方々が会場に残って交流を続けたことは、今回のイベントの大きな成果の一つです。
日本とカナダをつなぐ、JCCOCの取り組み
日本カナダ商工会議所(JCCOC)は、日本とカナダをつなぐビジネスネットワークとして、日本の起業家やスタートアップのカナダ進出を支援しています。
今回のイベントでは、高知県産香り米のカナダ市場への挑戦をきっかけに、現地の有力企業や政府機関との接点をつくり、参加者が日本食産業の現状と将来性を横断的に理解できる機会を提供することができました。
今後も、現地パートナー企業や関係機関とのネットワーク構築、起業家へのハンズオン支援、セミナーや交流イベントを通じた新たな出会いの創出に取り組んでまいります。
イベント責任者・宮鍋より
今回のVancouver Connect Vol.3では、日本からカナダ市場への進出に挑戦する起業家と、すでに現地で実績を築いている企業、そして政府機関をつなぐことができました。
参加者の皆さまが、普段なかなか一堂に会することのない食産業の各分野のリーダーから直接話を聞き、業界全体を俯瞰し、新たなビジネスの可能性を発見する機会になったことを大変嬉しく思います。
特に、80名もの皆さまにご参加いただき、3時間という長時間にもかかわらず、最後まで熱気のある交流が続いたことは、主催者として大きな励みとなりました。
これからもJCCOCは、日本とカナダの起業家、企業、そして人と人とのつながりを大切にし、両国のビジネスと経済の発展に貢献してまいります。
ご登壇いただいた皆さま、ご参加いただいた皆さま、そして開催にご協力いただいた関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。

