こちらは、8/8日加トゥデイへ寄稿掲載された内容をご紹介いたします。
日本と海外でエイサーや演劇などの公演を行う団体「からだとこころの出会いの会」が、8月上旬に行われる公演を控え、カナダのバンクーバーを訪れている。同団体のカナダ訪問を祝い、日本・カナダ商工会議所主催のもと、ダウンタウンのSELC ランゲージ・カレッジで懇親会が7月26日に行われた。
ー今もなお受け継がれる、第二次世界大戦の歴史
今回の懇親会に訪れた「からだとこころの出会いの会」は、これまで5カ国以上の国を訪れ、演劇やエイサーを通じて第二次世界大戦の歴史、そして平和について発信している。
メンバーは約80名で構成され、大人だけではなく2歳の子どもも立派な役者として舞台に立つ。第二次世界大戦の終戦は約80年前。現代の世代にとって第二次世界大戦は遠くかけ離れた出来事に感じるかもしれないが、同団体は現在もなお公演を通じて歴史を伝え、世代を通じて未来のあり方を発信し続けている。
バンクーバー日本語学校で、Joy Kogawaの作品をもとに描かれた「Naomi’s Tree」を公演する予定。同作品は、音楽、ダンス、スポークンワードを使って、第二次世界大戦の原爆で母親を亡くした日系カナダ人の少女ナオミの物語を語る。
懇親会には、総勢約40名が集まった。在バンクーバー日本国総領事館の岡垣さとみ首席領事も参加し、「Joy Kogawaさんの作品が、日本のパフォーマーによって行われると聞き、日本の文化を伝える素晴らしい活動だと嬉しく思った。またこのような懇親会は、パフォーマーの方々と触れ合い、彼らの生き方を知ることができる貴重な機会。カナダでの滞在を通じて、公演だけではなく人と人との出会いが生まれ、より日本とカナダの関係を深くしていくきっかけになって欲しい」と話した。
ー平和を願うエイサーや演劇を通じて、日本の歴史を発信
からだとこころの出会いの会がカナダを訪れるのは13回目だ。
数十年前、同団体の松井洋子主宰が初めてカナダを訪れた際に、カナダと日本の演劇の違いを目の当たりにし大きな衝撃を受けた。自身も演劇を行っていたことからその話をしていたところ、ナイアガラオンザレイクでエイサーを公演する機会が生まれ、偶然その公演を見かけたJapanese Canadian Cultural Centreから「日本人の誇りを生む素晴らしい活動だ」と声をかけられた。以来、毎年カナダを訪れ日本の歴史や文化を発信するためにエイサーや演劇を行なうようになったという。
松井主宰は、「第二次世界大戦では、日本国内だけではなくカナダに住む日系人も迫害されるなど、多くの人々が辛い思いをしていたが、カナダに訪れるまでそのようなことを知らなかった。国内でも同じように多くの日本人がこの事実を知らないことに気付き、衝撃と深い悲しみを感じた。平和を願うエイサーや演劇を通じ、より多くの人々に日本の歴史について知ってもらいたい。
私たちの舞台は、これまでの歴史と未来を作る新しい文化が混合している。私たちなりの表現方法で、より多くの人々に日本の歴史、そして平和について考えるきっかけを与えていきたい」と話した。
ー日本とカナダを繋ぐ、新しくユニークな取り組みを
日本・カナダ商工会議所では、年に数回ほど新会員への活動理解促進、そして人と人を繋ぐことを目的に、このような懇親会を開催している。
日本・カナダ商工会議所のサミー高橋会長は、「日本・カナダ商工会議所では、ビジネス団体とも連携しながら、今までにない新しく面白い方法で日本とカナダを繋ぐ活動をしている。今年はセルク・ランゲージ・カレッジと連携して、からだとこころの出会いの会さんのメンバーに英語を教える新しい取り組みも行った。
からだとこころの出会いの会さんは、それぞれお仕事もされている中で、毎年継続してカナダを訪れていることが本当に素晴らしいと思う。皆さんの活動を長年見ていて、心から平和と愛を願っていることが伝わってくる。日本・カナダ商工会議所は、日本とカナダを文化で繋ぐこのような活動を支援する」と話した。
(寄稿 日本・カナダ商工会議所/文 田上麻里亞)